腰痛
院長ブログ
朝起きてから腰痛に悩まされるあなたへ
朝の心地よい目覚めを邪魔する、重だるい腰の痛み。疲れをリセットしようと床についたのに、寝起きに腰痛を感じると、せっかくの1日のスタートから、やる気をそがれてしまいますよね。厚生労働省が平成25年に行った調査によると、朝の8~10時の時間帯に腰痛を訴える人が多いという結果が出ています。また、普段の生活ではそれほど腰に痛みを感じないのに、寝起きだけ痛むという人も。横になるのは、立ったり座ったりするより腰への負担が少ないはずなのに、なぜ?と不思議になりませんか。午前4~6時は、人間の体温が最も下がりやすい時間帯。体温が下がるとからだは熱を逃がさないように血管を収縮させるので、血液の流れが悪くなります。そうすると血液中にある疲労物質がスムーズに流れにくくなり、筋肉を硬くして痛みの原因に。これが寝起きの腰痛につながると考えられています。朝に起床したときの、「寝起き腰痛」を防ぐために大切なこと、それは「睡眠中の姿勢」です。ぐっすり寝ている間は気付かなくても、腰に負担のかかる姿勢で寝ていることも多々あります。
寝起きの腰痛は寝ている姿勢が原因
睡眠姿勢には「仰向け」「横向き」「うつ伏せ」の3パターンがあります。ここでは、睡眠姿勢ごとに、腰痛対策を解説したいと思います。
- 仰向けの寝姿勢
メリット
背中全体がマットレスに接するため、接触面積が大きい分、腰への負担を分散する効果があります。3パターンの中で最も腰への負担が少ない姿勢といえます。
デメリット
「骨盤が下へ引っ張られやすい」ことです。人間の腰は、緩やかなS字カーブを描くのが自然な形ですが、仰向け状態では、足を伸展させながらの睡眠姿勢になりがちです。そのため、骨盤も下へ引っ張られることで、伸展しがちのため、腰痛になりやすいです。
対策
足が伸展しすぎないよう、適度に屈曲させながら寝ることが大切です。
膝下にクッションを入れ、足を適度に屈曲させる工夫をすると良いです。この方法なら、寝てからでも足を適度に屈曲でき、腰のS字カーブも保つことが可能です。
- 横向きの寝姿勢
メリット
寝返りを打ちやすく、寝入り前の姿勢の自由度が高いです。
デメリット
接触面積が小さく、姿勢を保つために力が入りやすいため、姿勢を保つためにカラダに余計な力が入りやすく、筋肉を疲労させる原因になります。
体重の分散効果が弱いため、腰一点に負担がかかりがちです。
対策
エビのように丸まることで、姿勢の安定を図れます。
抱き枕やクッションを使用すれば自然に丸くなれ、足が適度に屈曲することで、骨盤も伸展しにくくなるため、腰のカーブを保つ効果もあります。
- うつ伏せの寝姿勢
メリット
寝入り前の姿勢の自由度が高く、寝返りを打ちやすい。
デメリット
うつ伏せは、3パターンの中で腰への負担が最も大きい睡眠姿勢です。うつ伏せで寝ると、腰が伸展を通り越して、反り返りがちです。これに伴って、腰への負担も大きくなってしまいます。また寝起きに首が痛む「寝違え」を経験した方もいるかと思いますが、首への負担がかかり、頚椎疾患の原因にもなる可能性があります。
対策
寝返りの過程で一時的にうつ伏せになる程度にとどめ、一晩中のうつ伏せ寝は避ける。
いくら正しい睡眠姿勢だからといって、ずっと同じ姿勢で寝ることはよくありません。寝返りが少ないと、体重が一か所に集中してしまい、血流障害を引き起こし、筋肉の痛みを誘発します。寝起きの腰痛を防ぐには、しっかり寝返りをうつこと。東京大学付属病院の研究によると、慢性的な腰痛がある人は、腰痛を感じない人に比べて寝返りの回数が少ないという結果が出ています。腰痛がある人の寝返りは一晩で3~5回ですが、腰痛がない人は15~20回だったそうです。
寝返りに適した環境整備
適度な硬さのマットレスが寝返りを助けてくれる。
「睡眠の質=マットレス」と考える方も多いと思いますが、マットレスの硬さは寝返りにおいても大切な役割を果たします。
- 適度な硬さのマットレスが寝返りを助ける
メリット
適度に硬い「高反発マットレス」が寝返りをサポートします。
デメリット
柔らかすぎるマットレスは、体幹の力が必要で寝返りがしにくいです。ときには、腰をひねりながら寝返りする場合もあり、寝返るたびに腰に負担を与えがちです。
対策
適度に硬い「高反発マットレス」を選択することで、快適な睡眠姿勢をキープ。
- 枕も寝返りには大切
メリット
枕を適切に選ぶことで、腰痛が改善されることがあります。
デメリット
柔らかすぎる枕や幅の狭い枕は、寝返りに不向きです。
対策
腰痛もちの方におすすめの枕は「硬め」で「広い」形状の枕が適しています。
ウレタン製や低反発性の枕は柔らかすぎるため、そば殻・ラテックス製の広い枕を選びましょう。
- 就寝前のストレッチも腰痛対策に
スポーツ前に準備体操をするように、寝返りをうつためにもストレッチや腰痛体操は大切です。睡眠中の寝返りは無意識化でおこなうため、眠ってからではストレッチができません。そのため就寝前に実施します。
具体的な就寝前のストレッチ方法の一例をご説明します。
- ベッドに仰向けになったら、軽く膝を曲げたまま、ゆっくりと体全体で左横向きになる。
- 左横向きの状態から、ゆっくり仰向けに戻ったら、今度は右横向きになる。
- また、ゆっくり仰向けに戻る
- 1から3を数回繰り返す
まとめ
今回の記事では、睡眠と腰痛の関係について解説しました。起床後の腰痛を予防するには、睡眠中の姿勢が大切であり、腰への負担が少ない姿勢を保つことが重要です。特定の姿勢にこだわらず、寝返りの回数を意識して、快適な睡眠環境を整えることが腰痛対策の一環となります。自分なりの腰痛対策を見つけ、質の高い睡眠を追求しましょう。